第3章 Episodes.相葉:笑顔の裏の崩壊
「さてと。僕は出掛けてくるね」
「お出かけですか」
「夕方には戻るから心配しないでね」
そう言って食器をシンクに置いて、
2階へと上がっていった。
私は知っていた。
彼の過去。
正直に話せば、
ここの人全員の過去を知っていた。
書類に記されたもの。
だからといって助けようとか、
救いたいとか思えたわけではない。
そんな力、私には無いと自覚してるからだ
だから。
「…じゃ、行ってくるね~」
寂しそうな笑顔になってしまった、
相葉さんの顔を見て、
気持ちをイヤに共感してしまう自分がいるのだ