第3章 Episodes.相葉:笑顔の裏の崩壊
気になって廊下へ出ると、
疲れた顔の大倉さんが
ボロボロの洋服をまとって
壁に寄りかかり座り込んでいた。
「だ、大丈夫ですか…?」
恐る恐る声をかけると、
閉じていた目が開いて
視線がじろりと私の方へ向いた。
いきなりバクバク激しくなる鼓動
「……っさい、ほっとけ」
そのまま、またまぶたを閉じた。
「か、風邪をひきますっ
明日も学校ですし、お部屋に…」
「別に学校行かんくたって、
オレ、天才やし。なんも問題あらへん」
引きずるように立つと、
私の肩を押して「そこ退け、邪魔。」
そう言い放った。
「…っ、」
だけど、またゆっくり座り込む。
なんだか苦しそう
「…おお、くらさん…?」
「…ほっとけ言うたやろ……!
日本語勉強して来いアホが…」
ばし、払いのけられた手のひら。
どうしようも出来なくて
じんわり広がる苦しみ
別に、どうかしたい訳じゃなくて
私にもその痛みがなんとなくだけれど
分かるわけだから。
共感したい、って。
そう思った
でもそれすら、
そんなことすら、拒絶されたから
きっと彼は私なんか受け付けていないんだろう