第8章 Episodes.泉森:愛と温もりと憎悪
結弦が現れてから、
妹は彼を怖がって近づかなかった。
" を彼女から遠ざけよう "
母と男が話していたのを聞いた。
兄も笑って頷いた。
また、一人ぼっちになるんだ
どうしようもない不安にかられた。
『いもーとちゃん、最近ワガママちゃう
おばさんに色々買ってもらってるで』
『そういう年頃だから』
『ふーん。』
妹は私を嫌いだと言った。
汚いお姉ちゃんは嫌いだって、
突き放されてショックだった
あるとき妹が万引きを働いた。
たぶん出来心だったんだろう
でもそれが大事になってしまって、
妹もかなり焦ってた。
『どういうこと?どうして…』
なんでも買い与えてきた母は
理由も何も分からず戸惑っていた。
『ねえねがやれ、って言ったから』
妹は簡単に嘘をついた。
母もそれを簡単に信じた。
『姉の貴女がどうしてそういうこと?
駄目なことぐらい区別つかないの?
これだから出来損ないは嫌いなの』
母は、私なんて愛しちゃいない。
妹は泣くふりして私を見て笑っていた。
『。お前のためだ。
ちゃんと謝りに行こう?許してくれる』
『ねーさんがやったわけないやろ!』
『章大は黙ってろ』
何もしてないのに謝らせる、
見捨てられたんだと思った。