第8章 Episodes.泉森:愛と温もりと憎悪
1人で家の中、寂しい。
昔は慣れていたのになー。
1人になると会いたくなるんだろ。
静かなこの空間で
嫌なことばかり思い浮かべる。
母は父親と離婚したあとすぐに
新しい彼氏を連れてきた。
その人は父親みたくお金持ちで
仕事もバリバリ出来て、
とてもかっこいい顔の人だった。
最初はいい顔をして近づいてきた。
だけど日を経つにつれて、
私に暴力を振るうようになった。
『来い!』
『…っ離して!!』
『生意気なお前はここにいろ!』
私はよくストレス発散のはけ口にされた
いつも家にいて都合が良かったんだろう
反抗もせず告げ口もしない私が。
兄はいない、助けも呼べずにいた。
そこに妹ができた。
可愛くて、愛嬌のある妹。
母は仕事に妹をよく連れて行った。
男も妹をひどく可愛がった。
きっと自分の子どもだからだろう。
『、こいつの世話をしろ』
『…で、でも私…』
『反抗する気か』
『…』
何も言えず、従った。
純粋無垢な妹は私によく懐いた。
『ねえね!これなーに?』
『これはね、』
2人っきりの空間で、
私が欲しいものを妹はくれた。