第8章 Episodes.泉森:愛と温もりと憎悪
慌てる僕に眉間にシワを寄せる兄さん。
『章大…?は、どこなんだ』
『居らへんねん!!何処にもや!』
家中を捜し回って、
ねーさんの名前を2人して叫んで。
何処にもいなかった。
『あいつ、学校を休んでたんだ。
親が厳しい家庭だったからな
いつもは休んだり絶対にしない奴だ。』
おかしいと思ったんだ、
と俯く兄さん。
携帯も置きっぱなしで繋がらない。
手掛かりもない。
困り果てていたら、
兄さんの携帯が鳴り響いた。
相手は結弦だった
『結弦!!を何処にやった!』
兄さんの怒声にも
ハハハ、と笑う余裕の結弦。
それに対してさらに苛立つ兄さん。
『前はあんなに懐いていたのに。
おいでと言ったら逃げようとするんだ』
と笑い話をするみたいに話す結弦。
『だから言ってやったんだ
それ以上、俺を困らせるなと怒ったんだ
そしたら黙って大人しくなったよ。
彼女はいい子で可愛いね。お人形みたいだ』
ふふ、と不気味に笑う結弦。
兄さんは少し考えたあと
焦った顔をした。
『…お前、に何もしてないよな
アイツはお前のせいで男性恐怖症だ』
『さあね?眠らせているからね。』
じゃあね〜
とぶち切られた電話。