第8章 Episodes.泉森:愛と温もりと憎悪
安田side
ぐるぐる嫌な事が頭の中で渦巻く。
最悪の事態になった。
アイツに連れて行かれてしまった
こうなっては俺にはどうにも出来ない。
「章大、どういうことなんだ?
の警護を任せたはずだろう?」
ねーさんの兄が偶然にも
帰国していた。
俺の家にはねーさん家族も住んでる。
だから俺も家族みたいに育った。
ねーさんの兄は妹想いで
だけど留学のためと外国に行ってから
そのまま向こうに就職して住んだから
家に帰るのは酷い時で年1。
ねーさんと会う機会も無くなった。
「ねーさんが学校辞める言うたんや。
その意見に僕が逆らう意味なんかないやろ」
「どうして反対しなかったんだ!
辞めたらこうなるって分かってて…」
「守るって決めてたんや僕かて!!!!!」
バンッ、と強く机を叩いた。
しんと静まる部屋の中。
兄さんは口をつぐんだ
「こうならへんように守るって決めた
だから僕は必死に抵抗したんやあの時…っ
…ねーさん以外の人間は無価値やって、
あいつは僕に向かって笑ったんや!!!」
あいつから守るって、誓った。
もう二度と怪我されないように
僕は手を伸ばした。
でも掴めなかった。
「……章大、」
「こうなったんはお前らのせいやで」
ゆっくり俯いた兄さんは、
悲しい表情を浮かべた