第8章 Episodes.泉森:愛と温もりと憎悪
「どういうこと!?
辞めたって…、なんでなの?!」
混乱している雅紀
そりゃそうだろう。
俺だってかなり混乱してるんだから。
「分かんない…、父親に聞いたら
自分から辞めると言い出したって…」
「ちゃんが来たの?」
「連絡が、来たって。
安田から。2人辞めますってさ」
理事長だってびっくりしていた。
寮母さんはしばらく通って
卒業するものだと思ってたらしいから
理由はきっと俺のため、だと思う。
でも寮母さんがすんなり辞めるなんて
この俺だって思ってもみなかった。
寮母さんがあんな家に…
帰りたがるとは絶対にないと思う。
「ニノ、大丈夫なの?
彼女の事。見捨てないでよ」
「…は?」
「彼女について何も知らないけど
彼女にもきっと色々あると思うから」
色々…ね
「そうだろうね。じゃなきゃ彼女が
俺らの事を拒絶したりしないし。」
「ねえ、ニノ…。
ちゃん、大丈夫なの?
なんか…、嫌な予感がするんだよね」
「俺にはどうにも出来ない。
彼女の家は規模がデカすぎて、
俺に手が出せるような家じゃない」