第8章 Episodes.泉森:愛と温もりと憎悪
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「離せ!!!汚い手で触んな!!」
男2人におさえられて、
暴れるヤスくん。
それを見てあの男はニコニコ笑っていた
「こんなことして許されるなんて思うなよ!」
「許されようなんて思ってない
イズミ以外の人間など無価値だ」
「ねーさん!ねーさん!!
離せ!僕が助けたるからな!!!」
「お前は目障りだ」
連れて行け、とスーツの男2人に
指示を出す男。
ふん、と鼻で笑った。
「…ざまあみろ」
「…こ、こんなことして…
あ、あなたは一体なにがしたっ…、」
「俺はね。イズミさえ俺の傍に
いたらそれでいいんだ。他はどうでもいい」
" むしろ邪魔だよ "
男は私の手をぎゅっと握った。
ゾワゾワと寒気がした
恐怖でガタガタ震えている。
「イズミが戻って来たんだ。
もうアイツは不必要だよね?」
「…っ」
「さあ行こう。
新しい家を用意したんだ!
そこで2人で暮らそう」
無理やり引っ張られる。
助けて助けて助けて助けて助けて助けて
心の叫びは誰にも届かない。
これでいい、私が我慢さえすれば
それでみんな笑って幸せになれるんだ。
大丈夫、大丈夫だもん…。