第7章 Episodes二宮:自分が帰る居場所には。
4人と過ごすのは気楽だった。
俺に何も求めず、俺も何も求めない。
気を許せる相手だと思えた。
だからこそ、守ってやろうと決めた。
だけど人との関わりはしんどかった。
心の奥では裏切られるんだと
大きな不安が俺をゆっくり追い詰めた。
考えないために勉強に集中して。
だけど人間、温もりを知ると
一人ぼっちになったら寂しくなる。
心配なんてされる筋合いはない、
無意識に出た言葉はお前達を
突き放し傷つけるのに容易かった。
過去に突き放され傷ついたのに
俺は他人を簡単に傷つけてしまった。
悔やんだ、自己嫌悪に陥った。
構うな、俺なんかに構うなよ
傷つけたくないものを傷つけて
さらに自分までも傷ついて。
悪循環。
そこに現れた寮母という存在。
しかも女だ。面倒。
最初こそ疎ましい存在だろうと思ったが、
過ごす日々で俺は気づいた
この人こそ傷つけてはいけないと。
『和也、その学校は辞めてしまいなさい』
突然、放たれたその言葉の本当の意味に
俺はすぐ気づく事が出来なかった