第7章 Episodes二宮:自分が帰る居場所には。
小学校に上がる頃には、
母親からの愛情というものはなく
勉強に厳しい教育ママになってしまっていた
家にいることがストレスに感じるようになり
だからこそ学校の友達といることが
自分にとっての居場所だった。
つなぎ止めておきたかった。
人との接し方も分からなかった俺は
愛想よく媚を売るようになった。
悪口に敏感になって、嫌われぬよう
必死に作った笑顔を
ヘラヘラ浮かべた
でも他人は残酷だった。
お前なんか要らねえ、
突き放された言葉と表情に
俺は何も言えなかった
"お金しかないお前と付き合ってるのに
メリットなんかなんにもねえだろ "
正しいと思った。
俺にはお金しかない
友達なんて作るなと教えられた俺は
どうしたらいいかわからなくて
泣いて家に走って帰った。
誰かに大丈夫、気にするなと言ってもらいたかった
でも母親は言葉をプログラムされた機会みたく
『勉強をしなさい。先生も来ていますよ』
と俺に言い放った。
こんなに泣いているのに。
こんなに傷ついてるのに。
母親なのに。
『和也、何している勉強の時間だろう?
しっかり励みなさい。あ、それからな
学校は変える。どうせ友達もいないだろう
変えたって何ら支障はなかろうな』
父親はやっぱり仕事のことばかり。
『あなた、これから仕事なの?
帰りは何時になりそうですか?』
『しばらく出張だ』
『そう…、気をつけて下さいね』
そうか、俺は、
誰にも必要とされていないのか