第7章 Episodes二宮:自分が帰る居場所には。
お前は跡取りなんだ。
跡取りらしく振る舞うようにしなさい。
勉学には励みなさい。
会社を経営するうえでとても役に立つから
先生との関係は良好なものにしなさい
学校生活の中で楽なものになるだろう
友達などは1人も作るな。
無駄な人間関係ほど自分を愚かにする
無駄なことに時間など費やすな。
将来のためになるのか、
それを前提に考えて動きなさい。
お前は、他の奴らとは格が違うのだから
父親は俺にそう言って、
必要最低限のルールを与えた。
母は不妊症で、
諦めかけた時に出来たのが俺だった。
小さな頃から勉強にスポーツに、
色んな習い事をした。
友達なんて知らなかった。
家庭教師が付きっきり丸一日、
俺の世界は家の中ただ一つだった。
だから知らなかった。
俺の言葉で人が傷つくことも、
良かれと思ってやったことで
傷つけてしまうことも。
あの時、俺が助けてと言えたら
今なにか変わっていたのだろうか?
変わるわけなんかない
だって母親は、
俺を平気て傷つけるんだから