第7章 Episodes二宮:自分が帰る居場所には。
結局ヤスくんは帰って来ず、
櫻井さんと食器洗い。
「安田くん?遅いね、帰り」
「…生徒会長さんの所でしょうか」
「そうかもね。まあ気にすることないよ!
きっと勉強とかのお話だろうしさ」
そうですよね、と笑ってみたけど
もう門限過ぎてるし
どうしたとか心配になるよね…。
喧嘩しちゃったし、仲直りしたい
ガチャン
荒々しく扉が開いた音に、
びっくりして櫻井さんが
様子を見に行こうとしたら
リビングの扉が勢いよく開いた。
「ねーさん。ここ出るで」
汗をかいたヤスくんが
私の腕をぎゅっと掴んだ。
「どうしたの?急に
出るってどういうこと?」
「ここにはおられへんねん!」
なんだか怒ってるヤスくん、
言ってることがよく分からなくて
戸惑う私に落ち着こうとため息をつくヤスくん
「二宮がねーさんを辞めさせる気でおる。
ここを追い出されたらアイツの所に戻される
その前にねーさん、僕と帰ろう」
「やめ、…え?な、んで」
「自分が辞めたくないからや」
「ちょっと待って、ニノが辞めさせるって
どうして急にそんな話になるの?」
「しらん。親父さんとそういう約束を
取り付けたみたいやで。腹立つ…」
ほら、と無理やり引かれて
抵抗も出来ず私は歩いた
ショック過ぎて、
私は涙さえも流れなくて
「ぜったいに許さん」
そう怒ったヤスくんに引かれて歩くだけ