第7章 Episodes二宮:自分が帰る居場所には。
あまりに静かに入ってくるから、
気づいた私も驚いて
言葉も出なかった
「…あ、の、驚くから
何か言って入ってくれないかな」
「おん。ごめん。」
いつもと様子が違うヤスくんに
不信感を抱きながら
私はヤスくんにご飯を出した。
いただきますと静かに呟き
ゆっくり食べ始めた
「…どうしたの?」
「…」
「ヤスくん!」
「あ、え?なんか言った?」
あはは、とその笑顔はいつも通り。
ん?と聞き返すヤスくんに
むっ、と苛立つ
「何かあったの?って」
「あー…、あったけどない」
「何その誤魔化しきれてない感じ」
「ごめん、でもこれはねーさん関係ない
僕の課題やから気にしんといて」
堪忍堪忍〜と
いつも使わない方言なんか、
それは誤魔化してる時
でも追求はできない
したとしても、
ヤスくんは教えないと思うから。
言える時に言ってくれたら、
それはそれでいい
話しやすい時に話せれば。
「ねーさん学校行くん?」
「今日は行かない」
「そっかあ、僕行ってくるから
何かあったら連絡してなあ?」
珍しく1人で学校に行くと言うヤスくん
やっぱり何かあったんだ
「ねえ?何か隠してるよね?」
「隠してへんよ?僕が隠すわけないやん」
もう〜嫌やわぁと
また笑いながら
2階へと行ってしまったヤスくん