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いつかの夢の続き

第7章 Episodes二宮:自分が帰る居場所には。






先に言うとくけど、


前置きで言ったその言葉の続きを
待つ二宮は視線をこちらに向けてきた。


「僕がお前ら助けるのは善意やない
ねーさんの為にあるのが前提なんやで」

「…は」


よく分からないとでも言うように、

怪訝そうに眉間にシワを寄せた



だから僕も、はぁ…とため息。




「せやからぁ。
僕が何とかして欲しくても、
ねーさんの為にならへんのやったら
僕は二宮を助けたりなんかせえへんから」


だって、例えねーさんの為にならんくて
助けてしまったとしたならそれは、

みんなが言うただの偽善や。


偽善は人の心を時に傷つけてしまう。


その人のためじゃない、

自分自身のために助ける行為は
自己満足であって誰かの為やない。


「…安田は、いつもあの人のためだね
いつもねーさんねーさんって、疲れない?」

「どういう意味やねんそれ」


「俺は疲れる。誰かの為に生きるのって
すっごいしんどいし、無理だね」

「生きる意味なんて人それぞれやろ
僕はねーさんの為に生きてるけど、二宮は
そうちゃうやろ、分からへんけど」


はは、

と笑った二宮は
僕のこと羨ましそうに見た。


「何かの為に生きるのって、
何かを失わなきゃいけない。
それがすごくしんどいんだよね、俺
だから捨てるものさえ無ければいいって
ずっと思ってたし考えてたけど
実際、そうじゃなかった」


何かの為に生きるのって、

何かを失わなきゃいけない…か。


「生きてるって、何かを得るものでしょう?
俺、知らなかった。いま考えたら馬鹿だった」

「…」

「俺、あいつらの事すっげえ好きだわ…」




最悪ですよ、って

両手で顔を覆う



その彼の涙の意味は分からへんかったけど


「その中にねーさんは含まれてんの?」

「…そう言ってるように聞こえませんか?」



それがねーさんに対して、
優しさとかそういうもんやったなら


しゃあなしやで、と


泣く二宮にハンカチを乱暴に投げた。


「めちゃくちゃ感謝せえよ」


ばーかと精一杯の罵倒。

僕もお人好しになってもうたなぁ








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