第7章 Episodes二宮:自分が帰る居場所には。
「ねえ、あれどういう意味なの
お前らと一緒にせんといてって!」
部屋に着いて、
握られていた手を振りほどいた。
ヤスくんは変わらぬ優しい目つきで
私に言った。
「友達なんかとちゃう。ちゃうよ!
ねーさんには僕がおる。僕にも、
ねーさんがおる、それで充分やろ!!」
「関係なくなんて、もうないよ」
「じゃあ、ねーさんにとってここはなに?
帰る場所?居場所?家族?なんなん?」
僕にとっては、
悲しそうな目を向けた
「…ねーさんを傷つける場所に見える」
「そんなことないよ。思ってたよりも
居心地いいし楽しいところだよ?」
最初は他人で、仲良くなんてしたくなくて
だけど日が経つにつれて
一緒にいる事が安心に変わった
みんな苦しい時を乗り越えてるんだって。
「じゃあねーさんのこと話せるん?
ここに来る前にされたことも、すべて」
「…っ」
「あいつらが、受け入れるとでも思ってる?
僕は思わへん。傷つけてしまうだけや」
「違う!!!!」
はぁ、はぁ、
息を切らし、必死に整えて
こみ上げる涙を我慢した
「ずっとずっと考えてた。
ここに来て良かったよね、私って」
「おん」
「…それでもっ、頭には…」
「ねーさん、」
「ずっとアイツが出てくるのっ…
ここに居るべきじゃない分かってるよ…!」
「ごめん、言い過ぎた。ごめん、」
話せるわけない。
そのために来たんじゃない。
確かに逃げて来たけれど、
でも話せるわけがないんだ。