第6章 Episodes大倉:無愛想な理由
ガンッ、
扉を蹴破った。
それに驚いた顔のおっさんが
すぐ険しい顔をして僕を睨んだ。
「なにか御用で?
部外者は立ち入り禁止のはずです」
ええ顔して笑ったおっさんは、
僕の前まで来ると
つん、と肩を押した。
出て行きなさい、
無言の言葉なのだろうか。
「大倉忠義っておるやろ
どこおんの?案内してくれへん?」
「私の話を聞いていましたか?
部外者は立ち入り禁止、と」
「2回も3回も言わんでも聞こえとるわ
しつこい奴は嫌われるねんで〜」
僕の言葉にさらにイラつくおっさんは、
足をトントンと音を立てる。
「案内せえへんなら自分で捜すわ」
ねーさんの為やとはいえ、
監禁されとる男をなんで僕が
こんな権力振りかざして探さなあかんの?
根本的に考えておかしくない??
まあ、ええけどな。
ねーさんのためになれば、それで。
適当に歩き回ってたら、
光が漏れた一つの部屋を見つけた。
中を覗くと双子の男の子。
1人目が合うなり、
僕の事が見慣れぬせいか
鋭く睨んできた。
「…お兄ちゃん、だれ?」
「僕な、君のお兄さんの友達やで
お兄ちゃん連れ出しに来てん、どこ?」
「…兄ちゃんなら…」
「…やすだ?」