第6章 Episodes大倉:無愛想な理由
えええ!?
つんざくような大声に、
思わずスマホを耳から離す
「んな叫ばんといて、鼓膜が破れるわ」
『なんでそんなところいるの!』
ねーさんは怒っとる、というよりは
かなり困惑しとるみたい。
「ねーさん、俺言うたよな?
俺はねーさんの為ならなんでも出来る
やから、おーくらのことやって助ける」
『で、でも…』
「大丈夫。安田章大に任せ」
大丈夫、大丈夫。
ねーさんの笑顔は俺が守ったるねん。
あの日の絶望が。
2度と訪れたりせんように
俺が守ったるねん。
「あの〜。警備員さん」
『君は?高校生じゃないのか?』
「細かいことはええやん、ここ開けて」
『そう言われて開けるやつはいないだろ』
めんどくさぁ…、
小さく呟いた
「ええから早よ開けろ。
ここに大倉ってやつおるんやろ」
『大倉…忠義さまの事でしょうか』
「そう言うとるやろトンチカンが
俺は安田、安田章大〜。分かるやろ」
『や、安田…さま!!!?』
警備員は慌てた様子で
扉を開くスイッチを押した。
最初からそうしたらええねん。
グチグチめんどくさいこと
ゆうからこんなしたくもないことを
言わなアカンくなるやろ…