第6章 Episodes大倉:無愛想な理由
「薬貰ってきたで、飲めるか?」
ベッドの上で寝ていた悠汰に
貰った薬を見せる。
また悠汰はへらりと力なく笑った。
「お兄、水持ってきた!」
「ありがと」
ゆっくりと悠汰を起こして、
薬を手のひらに出し
水を渡す。
「……、はぁ、ありがと〜」
「あとはゆっくり休んでたらええから」
空のコップを受け取り、
片付けようと立ち上がると
寝転がった悠汰が腕を掴み引き止めた
「どうした?」
そう聞くと、
精一杯の笑顔を浮かべた悠汰
「もう、ええよ兄ちゃん」
そう言って、手を握る
「もうええから。僕らのことは。
学校に行って?友達が居るんやろ?
会いたい人がおるんやろ、なら、
もう僕らのこと、ええよ」
そう言ってまた、優しい笑顔を浮かべた
「な、何言ってんねん…」
誤魔化しきれないほど下手くそな
笑顔を浮かべるけど出てくるのは涙だけ
「柊真と話してん」
な、と柊真に振ると
柊真もまた笑顔で笑った。
「なんでそんなこと言うんや…」
苦しくなって、
拭いきれない涙を必死に拭った。
「兄ちゃん最近、変やで
前は学校の事とか気にもせんやったのに
よく話すし寂しそうにしてるで」
「んなこと、」
「誤魔化さんでええから!
大丈夫、悠汰のこと俺が守るし!
俺やって兄ちゃんやで、大丈夫大丈夫!」
そう笑うから、辛くなって。
思わず座り込んで泣きじゃくった。