第6章 Episodes大倉:無愛想な理由
俺の母さんはめちゃくちゃ美人で、
優しくて皆に羨ましがられるような、
そんな良い母親だった。
コイツとも仲が良くて
時々俺とコイツが喧嘩してるのを
止めに入るのは母さんの役目。
でも俺が小学校3年になってすぐ
母さんは交通事故で
亡くなってしまった
コイツは泣いた。ずっと
人が、変わってしまったのだ。
それからまた別の女の人との間に
柊真と悠汰が生まれた。
けどすぐ別れてしまう。
ただ唯一、母さんと血の繋がった俺だけを
形見のように扱っていた。
無条件に愛される
そんなことは決してなかった。
「ええから。薬寄越せはよ。」
コイツにはもう、何の思いもない。
弟達を救い出してあげなければ、
どうにもならないんだから
「分かりました」
ぽん、と放り投げられた袋。
「…あるやんけ、」
一言呟いて、
俺は悠汰たちのもとへ走った。