第6章 Episodes大倉:無愛想な理由
「おい」
モニター見ながら作業していたヤツに
薬寄越せと言うと、
「薬はありません」
それだけ言ってまたモニターを見た。
「ふざけんな!!
悠汰が熱出してんねん!
病弱やから熱だけでも大変やって
ゆーたやろ!!!!」
「ああ。心配いりません。
その熱の原因でしたら薬の副作用ですから」
平気な顔して俺に言い放った。
薬の、副作用…?
「お前が学校などに行くから、
薬の実験が遅れていました。なので
仕方なく悠汰に投与しました。
まあ、発熱するという副作用が
分かったので実験は意味を成しました」
何言ってんねんこいつ。
病弱の悠汰には絶対に薬なんか
いれんなって言ってたやろ…!
その熱がこじれて
最悪死んだらどうすんねん!!
「俺言ったよな、薬の実験は
絶対に柊真と悠汰にはするなって
なんで破ってんねん。理由話せや」
ヤツはカチンときたのか、
敬語口調から言葉遣いが荒くなった
「だから言ってるやろ、
お前が学校に行くからやって。
同じこと何回も言わせんなやボケ」
「同じこと言わせんのどっちやねん」
「お前が約束守らへんからやろが!!」
胸ぐらをつかむ。
小さく舌打ちをした。
「何が約束や。一つも守った事無いお前が、
俺になんの約束するっちゅーねん…。
お前にとって大切なのは、俺の頭脳と、
母さんと血の繋がっとるモンやろが!!!」
「…っ、」
いつだってこいつの頭の中は、
研究と、母さんの事だけだ