第3章 Episodes.相葉:笑顔の裏の崩壊
『女嫌いなお前にカンケーねぇだろ!』
『そ、そうだよ!そいつだけ助けて!
いつもなら見て見ぬふりしてんじゃんか!』
反論してくる彼らにひるまず、
むしろだるそうな、呆れた声を出す
「は?なに。それ、反抗って捉えていい?」
『…っ!そ、れはっ…!』
「言っとくけどお前らなんかさ、
相手じゃありませんから。
この子、寮母だから助けただけで。」
女嫌い、って…
「これ以上、めんどくせーこと言うなら
てめぇらの評価下げとくけどまだなんかある?」
イラついた口調で言う彼に、
二人は悔しそうに走り去って行った。
「…大丈夫ですか?」
ぱっと離れる彼に
違和感を持ちつつ、私はお辞儀した。
「ここの学校はバカ高だから。
あんなのばっかだから気をつけなね」
はぁ、とため息一つ。
彼は紙になにかスラスラ書き綴る。
「あんた、寮母なんですよね?
どうしてここに?理事長に用でも?」
「…あ、手続きしてました」
「…て、つづきね…ふーん。」
ちらっと理事長室を見たあと、
彼もまた"愛想笑い"をして
「俺は二宮和也。好きに呼んで。
寮は必要以上に戻りません
別にあんたが来たからじゃないよ」
「…は、い」
ふう、とためいき。
そして二宮さんは
私に意味ありげに言った。
「まあ、これは俺らの問題だからね」
パタンと、手帳を閉じて
立ち去ってく二宮さん
ひとつだけ、分かったのは
彼は私に一度も触れなかったこと。
女嫌いじゃなく、恐怖を抱いているのかな…?