第6章 Episodes大倉:無愛想な理由
ーーー大倉side
「離せよっ!!!!」
俺の腕を掴んでいた腕を振り払う。
手錠で自由を奪われた手
足枷(あしかせ)をつけられた両足
重たくて歩きづらかった。
「高校卒業、お前はそれを許したよな?
約束したよな。研究に協力する代わりに
弟達の身の安全と俺を無理やり研究所に
連れ戻す事は絶対にせえへんって」
「もういいでしょう。あそこで
チャラチャラ遊んでいるだけならば、
研究所で研究に没頭させた方がマシです」
「遊び?」
「違いますか?友達も作らず、
授業にはろくに参加しないのに
通う意味は全くないとは思いませんか」
白衣を着たこいつは、
大倉聖良。
「友達を作らず?作れへんねん!
作れへんようにしてるやろ!!」
殴りかかろうとして鎖で
引っ張られヤツに近づけなくて
もどかしくて地団駄。
「これからどうする気やねん
もう高校には通わせへんのか」
「ええ。後で退学届け出しておきます」
やつのカバンには白の封筒。
退学届け、と
きれいな字で書かれていた。
「さあ、着きますよ
逃げる真似はしないように」