第5章 Episodes櫻井:優しさの裏と表
「ありがとう、お兄ちゃん…
私、本当は苦しめて復讐しようと思った
でもお兄ちゃんも苦しんでたって知ったから
ここに来て良かった。仲直り、してくれる?」
萌乃さんは遠慮がちに、
櫻井さんの方を向いた
櫻井さんは頭に手を置き、
「当たり前でしょ?」
と優しく笑った。
萌乃さんが帰ってった後、
私と櫻井さんは寮までの帰り道
ゆっくり話した。
「本当はさ、他人との交流なんか分からないんだ
今まで人間関係とか作らないようにして
過ごしてきたから。だから人と話すのは、
めちゃくちゃ緊張するし苦手なんだよね」
そう笑った櫻井さん。
「そんなの私もです。櫻井さんだけでは
ありません。きっと錦戸さんも相葉さんも。
だから無理して笑うとか仲良くするとか
しなくたっていいと思いますよ」
もしも私だったどうしたろう。
櫻井さんのように、
笑って許してあげていただろうか