第5章 Episodes櫻井:優しさの裏と表
寮の前まで来たとき、
玄関前でうずくまる人がいた
「あれ。大倉じゃない?」
櫻井さんがそう呼んですぐ、
その人は顔を上げた。
確かに大倉さんだ
「泣いてないですか…?」
ボロボロの体の大倉さんが
フラフラしながら駆け寄って来て。
そのまま私に抱きついた
「お願いや。寮母さんやから頼む」
「大倉さん…?」
体が熱い、息使いも荒い、
傷だらけの体が震えてる
「頼む…助けて…」
大倉さんはそのまま力が抜けたように
ダラリとして気を失ってしまった
それは、大倉さんからの
悲痛な叫び声で
「大変、熱があるみたい…」
「とりあえず中へ運びましょう!」
大きな事件の始まりでもあったことに、
私はまだ知る由もない…
Episodes.櫻井 END