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いつかの夢の続き

第3章 Episodes.相葉:笑顔の裏の崩壊







小さく、大切に折りたたんだ手紙。



『無理せずに元気でね。』



たったその一言だけを綴った手紙を

私は静かに、優しく抱きしめた



怖くないと言えばそれは嘘で、

男の人はすごく苦手。



だから男子寮とも言えるここで、
寮母なんか務まるのかも分からなくて




だから、思い出の品ばかりを箱に詰めてた




「…写真ばっかりだな」




再びダンボールを閉じて、
押し入れの奥に押しやり戸を閉める。



理事長のとこへ行って

書類を出さなくちゃいけない。





「片付けはあとにしよう」



今はとりあえず手続きが先だ。





ゆっくり立ち上がり、
私は部屋を出た。





寮を出ると出くわしたのは、
見た目がすごくこわい不良の人。


私を見るなり冷たい視線を向けるから。





……ゾッとした、



「…ああ。寮母の子か」

と、聞こえるか聞こえないかの声で
彼は私に向けて発した。



「…です」


「大倉。大倉忠義って言うねん
基本的に寮には帰らへんから
今日も、荷物取りに戻っただけやし」


作り笑いとすぐわかる笑顔を私に向けた




…これが"愛想笑い"。



そして気づいた。



腕についた痣とキズ。



その視線に気づいた大倉さんが、
慌てて服の袖をぐいっと伸ばして隠す。


「…ほな、いつかな」




悲しい顔して彼は寮の中へ




初対面なのだから、
深入りしたりしちゃダメだ。




まだ、だめだ。




「急がないとっ…!」





時計を見て私も走り出した。






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