第3章 Episodes.相葉:笑顔の裏の崩壊
バタン、
ドアが閉められて過(よぎ)る昔のこと。
ずっと前に、
忘れたつもりでいたのに。
おかしいな、なんで今ごろまた。
ズキっと痛む頭に手を当て、
静かに1人ため息を吐いた
「大丈夫。大丈夫だ。うん」
何度だって、言い聞かせたことじゃないか
笑っていればやり過ごせる気がして。
ふざけていれば誤魔化せる気がして
だから今回も上手くいける、
そう、思ってた。
キミと仲良くなるまでは。
「ただいま〜、疲れたあ、」
「翔ちゃんおかえり
女の子、もう来てるよ。」
「あ、ほんと?部屋?」
「うん。荷物片付けてるみたい」
ここの寮生はみんな、
過去に何かしら抱えて生きている。
翔ちゃんだってそう。
共通するのは女の子が"嫌い"だってこと
「今回は、傷つけたくないね。」
「…うん。そうだね、俺もそう思うよ」
なんて、小さく呟いた。