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科学班の恋【D.Gray-man】

第81章 そして誰もいなくなった



「コムビタンDって確か…あれ、だよな…」

「なんさ。どんな薬なんさ?」

「投与するとどんな疲れも忽ち吹っ飛んで、仕事ができるという」

「でも強力過ぎて、理性まで忽ち吹っ飛んでしまうという」

「…はい?」

「全くあり難くなかった、残業用ゾンビウイルス…」

「ゾンビウイルスって…なんだコラ」



リーバーを筆頭に、次々と愚痴るように零していくロブやジョニー。
青褪めた南の口から吐き出された"ゾンビウイルス"との言葉に、アレン達は一斉に顔を渋めた。

ゾンビと名が付いてしまっていては、確定でしかない。
あの亡者のように暴れ徘徊している団員達の姿は、正にそれだ。



「何がどうしてこうなったかはさておき、これじゃ全く引越しができない!」



きっぱりと言い切る所、コムイが作り出した薬ではあるが、コムイ自身が薬の中身を振り撒いた訳ではないらしい。



「この感染は抗体があれば止められる。何処かにコムビタンDの原液を接種した感染源がいるはずだ。抗体はそれからしか作れない!」

「ええっ!?」

「てことは、その感染源が把握できないとオレら八方塞がりってことさ!?」

「そうだ!諸君で早急に見つけ出して引越しを再開しよう!!!」

「って抗体作ってなかったんですかあんた!」

「うん!!!」

「"うん"じゃねぇよ!胸張って頷くな!!!」



握り拳を掲げ、高らかに宣言する。
そんなどこまでも救えない上司を前に、とうとうリーバーの堪忍袋は破けてしまったようだった。



(あれ?僕、婦長に噛まれたんじゃなかったっけ…?左腕だからセーフなのか…?…アレ?)



ただ一人。
皆がコムイへの怒りを露わにする中、アレンだけは一抹の不安を抱えていた。

じんじんと微かに感じる左腕の違和感は、決して夢ではない。

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