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科学班の恋【D.Gray-man】

第81章 そして誰もいなくなった












───外は嵐



本部内は死霊の山

ではなく

コムイ室長が作った

対残業用ウイルス"コムビタンD"に感染し

亡者と化した団員で溢れていた



これにより

止まってしまった引越し作業を再開させるべく

我々はコムビタンDの原液を接種した感染源を捕獲し

抗体を作り出すこととなった



ちなみに

この事態の元凶である当の本人に反省の色は全く無し

コムイ室長への厳しい処罰を強く求む



報告者 ハワード・リ───






ばくんっ






『ゴ主人ヘノ危険ヲ察知。排除シマス』

「っ!?わ…私の手帳…!」

「食べた…」

「うわ…手帳食べたぞ…」



もっしゃもっしゃと機械の咥内を膨らませながら租借するコムリンEX。
その口の中には、今し方リンクが中央庁へ上げていた報告が綴られた手帳。
コムイそっくりに作られたこのコムリンEXには、自動でコムイへの脅威を排除するセンサーでも付いているのか。
リンクが驚き固まる中、あっという間にギザギザの歯で引き裂いた手帳を飲み込んでしまった。

まるで第二のコムイのような姿に、ジョニーとロブも息を呑む。



「しかしあちこちにいるなぁ…」



そんなささやかな騒動をバックに、ぴたりと張り付いた窓際から外の通路をそっと伺うリーバー。
原因はわかった。
解決方法もわかった。
今すぐここでコムイに一発でも拳骨をくれてやりたい所だが、それより優先すべきは騒動の鎮静化。
上司への説教は後回しだ。



「これはマジでもう生存者は俺達だけかもな」

「イヤだから死んでませんて。話聞いてた?リーバーくん」

「大体感染源なんてどうやって見つけるんですか」

「あれ。無視?シカト?新手のイジメかいリーバーくん」



否。
やはりふつふつと湧いている上司への怒りは、地味にコムイへの嫌がらせとして表れているようだった。

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