第81章 そして誰もいなくなった
駄目だったのかと、舌打ち混じりに神田が顔を顰めた時。
「ごめんなさいっ」
群の中から謝罪の声と共に、突如強い光が生まれた。
カッと辺りを照らす強い光に、群の中から衝撃波が舞い上がる。
眩い光と共に現れたのは、真っ白なマントを羽織りイノセンスを発動したアレン。
生き物のように大きさを変えて翻したマントが、団員の群を薙ぎ払う。
それと同時にリーバーや南達を守るように、マントの端で包むように覆っていた。
「ギャァアア!」
「グアウッ!」
「ご、ごめんなさい!そんなに痛くないようにしたんですが…っ」
「そんなことよりアレン!」
「逃げるぞ!」
マントに弾き飛ばされる団員達。
正気を失っていても仲間であることには変わりない。
気遣うようにわたわたと彼らに声を掛けるアレンのマントを、ラビとリーバーが引っ張った。
今は他人の心配より自分の心配が先だ。
「ガァアァア!!!」
「来た!」
「逃げろ!」
「ま、待ってオレ走れな…っ」
「掴まれジョニー!」
屍のような姿から一変。
再び起き上がり襲い掛かってくる団員達に、未だ松葉杖を付き動きが不自由なジョニーを、咄嗟にリーバーが背負う。
「なんなんさ一体…!」
「とにかく逃げろぉおお!!!!」
そうして皆一斉に、研究室の外へと逃げ出した。