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科学班の恋【D.Gray-man】

第17章 童謡あそび



確かに薄気味悪い任務だとは思う。



「うーん…なんにもない」



再び訪れた古い屋敷の中。
私達以外に人がいれば、何かしら痕跡が残るはず。
だけどどんなに調べても、何かがいた痕跡は出てこなかった。



「本当になんにも出てこねぇんさ?科学者さん」

「本当です。人がいたなら、指紋なり髪の毛なり何か出てくるはず。現に私達のものは見つかったし」



ラビが黒い影を見た場所以外も、片っ端から屋敷内を調べて回った。
高い位置にあった太陽がゆっくりと傾き始めても、人がいた痕跡は何も見つからない。



「じゃああれはやっぱり…幽霊、とか?」

「…その可能性は高いかも」

「マジかよ…」



顔色を悪くして、ラビが壁に手を付いて項垂れる。
目撃例があるのに痕跡は何もない。
確かに薄気味悪い任務。
だけど私は、ある意味この任務に感謝していた。



「これならまだAKUMA討伐の方がマシさ…」

「どんだけ苦手なの」



こうして仕事を通じれば、ラビと普通でいられるから。



「苦手っていうか…逆に好きな奴いるんさ?」

「ジョニーとタップは、そういう怪談話大好きだよ。面白がってよくしてくるし」

「うわ、タチ悪ぃ」



お互いにプライベートで何かあったからって、気にして仕事ができなくなる程幼くない。
死と隣合わせの仕事だから、愛だの恋だの言ってられない。

…そう思っていたのに。

あの時窓硝子を破って跳び込んできたラビは、私の身を心底按じてくれて…それでいて同時に私に触れるのを拒んだ。

…なんでだろう。

ラビが私に触れなくなってから、もやもやとしていた気持ちがあの時はっきりと小さな痛みへと変わった。

…私はどうしたいんだろう。

リーバー班長の温もりを感じながらラビの顔を思い出してから、そんなことばかり考えてる気がする。



「………」



そっと胸ポケットに手を重ねる。
そこにはリーバー班長から預かった御守りが入ってる。
ラビみたいによくスキンシップを取ってくる人じゃなくて、厳しいことも沢山言うけど、本当は誰よりも優しい人。
その人の大切な物を感じていると、心が落ち着くのを感じた。

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