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科学班の恋【D.Gray-man】

第17章 童謡あそび



「朝食が済んだら、早速あの屋敷の調査をしよう」



一瞬だけだったから、あの囁き声は空耳だったのかもしれない。
もしくは村で歌っていた子供達の歌声が、風で流れてきたのか。

ラビが見た黒い影。
とにかくその正体を掴めれば、全部解決するはず。



「いえっさー」

「…なんでラビなんですか」



私の言葉に緩く返事したのはラビ。
そこに納得のいかない顔で口を挟んだのはアレンだった。



「僕が南さんと行く予定だったのに…」

「また迷子になったら困るだろ。トマ、そっちでしっかりアレン見張っとけよ」

「はい」



黒い影の調査は科学班の私が行かないといけないけど、一緒に行くはずだったアレンはラビの意見で外された。
まぁ…アレンに縄付ける訳にもいかないし。
だからと言って、またはぐれるのは嫌だし。
しっかり者のトマさんと組ませるのは、妥当案とは思うけど。



「納得いかない…ラビに任せる方が、心配なのに…」

「なんでさ。オレも一応、エクソシストだけど」

「お化けとか苦手でしょ」

「…何かが出る前提で話すのやめてくれる?アレンさん」



頭を押さえて溜息をつくと、眉の下がった顔でアレンは私を見た。



「僕が守るってコムイさんに言ったのに。傍についていられなくて、ごめんなさい」



そおっと、手袋をはめたアレンの手が頭に伸びる。
触れるか触れないかの距離は気遣うように。
撫でるような動作は優しく、そしてその声は親身に心配してくれていた。
ラビとは喧嘩してると思ってるみたいだから、きっとその心配もしてくれてるんだろう。
本当、優しいよね。
ひしひしとアレンの優しさに触れてつい頬が緩む。



「大丈夫だよ。ありがとうアレン」



安心させるように笑って頷けば、アレンも僅かながら笑みを返してくれた。



「何かあったら、すぐ連絡を入れて下さい。駆け付けますから」

「うん、わかった」

「あとくれぐれも一人にはならないように───」

「はいはい、わかったから。そっちは村の調査しっかりやれよ」



とん、とラビの手が私のアレンの間に下りる。

会話を遮って席を立ったその顔は、



「さっさと調べて、さっさと終わらせるさ。こんな薄気味悪い任務」



嫌々と溜息をついた。






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