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科学班の恋【D.Gray-man】

第81章 そして誰もいなくなった



ドクドクと心臓の鼓動が速くなる。
薄ら寒いものを感じて、気味が悪くなった。



「どーよ!隠し事するにはピッタリだろ?事実、全然バレてなーい♪」

「後は室長だけ気を付けてりゃいいしなー♪正に、」

「「お化け様々!」」

「お前らなぁ…祟られても知らねぇぞ?」



わははは!と急に大きな笑い声が響いてきて、はっとする。
ジョニーとタップの怪談話にオチがついたらしい。
散々笑い上げる二人に、ラビの力無い反論が続く。

一気に引き戻されるような感覚に、南はほっと胸を撫で下ろした。
傍に人がいることへの安心感。
そうだ、一人ではない。
こんな時に変な怪奇現象など見るものか。



(やっぱり気の所為か)



どうやら先程触れたと思った謎の柔らかいなにかは、幻覚だったらしい。



「残業のし過ぎかな…」



やれやれと肩を下げながらもう一度探せば、今度はすんなりと床下倉庫の取っ手を見つけることができた。



「ん、しょ…っと」



ガコ、と重い床下倉庫の蓋を開く。
他にも備品の仕舞われている空いたペースに、慎重に段ボールの中身を移し変えていく。



(どうにも視界が悪いなぁ…部屋の電気付けてくれればいいんだけど…)



こっそり危険物を隠している最中だから、目立つことはできないのか。
棚の陰で覆い尽された隅っこで、一人黙々と作業を続ける。
大きな床下倉庫に何度も身を屈める作業は、地味に腰に響くようだった。



(これ、絶対二人掛かりでやるべきだと思う…)



一人が荷物の手渡し役をしてくれれば、もう一人が倉庫にしき詰めてすぐに済む作業。
ジョニーとタップの未だに笑う愉快な声が聞こえて、南は不平を顔に出した。



(雑談してないで手伝って欲しいんだけどな)



溜息が零れた。

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