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科学班の恋【D.Gray-man】

第81章 そして誰もいなくなった



「───は~。コムイの作った危険物を隠しにねぇ」

「………」

「わざわざ人目のつかないよう、こんな時間に」

「…っ」

「それもこんな薄暗~い道使って」

「内緒だぞ!絶対誰にも言うなよ!?」

「リョーカイざます♪」



深夜の教団。
暗い通路を大きな荷物を抱えて進む、科学班一向。

と、赤毛のエクソシストが一人。

結局強い好奇心を抱いてしまったラビをあしらうことはできずに、渋々と彼の同行を許してしまう結果となった。
声を荒げるリーバーに、まるで玩具を見つけた子供のようにラビはわくわくと顔を綻ばせる。

聞けば、科学班のリーダーであるコムイが作り出した数々の厄介な劇薬。
その劇薬で誰かが被害に合う前に、こっそりコムイから取り上げ隠しに行く最中とのこと。



(科学班って面白ぇ♪)



そんな楽しそうなこと、年頃の青年らしい好奇心を持つラビが見逃すはずもなく。
金魚の糞の如く、科学班について来たのだ。
ブックマンが知れば、記録を放って目の前の好奇心を優先する弟子への激怒の雷でも落ちそうなもの。
しかしこの場に彼を止められる者は、残念ながらいなかった。



「でもなんで"隠す"んさ?危ないんなら処分しちまえばいいだろ」

「それが処分するにも、有害過ぎてできねぇんだよ」

「へー……ね。それってどんな危険物か教えて?」

「だ、駄目!これ以上は!」

「えー、いいじゃんか」

「駄目ったら駄目だってば!」

「ちぇっ。なぁ南ー。南なら教えてくれるだろ?」

「うわ、ちょ…っ重いもの運んでるんだから寄り掛かって来ないで…!潰れる!」



こそこそと顔を寄せるラビを払うジョニーに、ラビの足は最後尾をもたもたと歩いていた南に向く。
遠慮なく南の肩に腕を回して体重を掛けてきたかと思えば、更には抱えた段ボールに持っていた分厚い書物を乗せてくる始末。



「ちょっと…!重…!」

「ん。貸してみ」

「あっ」



重さに耐え切れず、ぐらりと南の体が傾く──前に、両腕から消え去る重み。
宙へと上がる段ボールを目で思えば、易々とそれはラビの腕の中に収まった。

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