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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



「大体南は泣いてねぇし!ちゃんと顔見てから文句言ってくんね!?」

「だってラビ見てるとなんかムシャクシャして」

「なんか!?なんかムシャクシャってナニ!?!!」

「手頃なサンドバックが他にねぇんだ、仕方ねぇだろ」

「ハイまずそこが可笑しい!オレ人間!オレ!!人間!!!」


「ああもう…」



忽ち騒ぎ立てるラビをどう落ち着けようかと、南は力なく項垂れた。
煩く騒いでいるのはラビだが、その原因に当たるのはどう見てもアレンと神田。
任務もなく教団にこもりっ放しで若い活力が有り余っているのはわかるが、それをこんな形で発散させるのはやめて欲しい。
なんだかんだ巻き込まれている身にもなって欲しいと、南は落胆の溜息をついた。



「はは、相変わらずだねぇ」

「…コムイ室長」



そんな下がりに下がった南の肩に、ぽんと軽く乗る手。
手の持ち主を視線で辿れば、高い背丈に視線がぐんと上がった。



「三人揃うといつもこれだ」

「…そうでしたっけ?」

「あれ、気付いてなかった?そうだよ~」



(だったっけ…?)



さも当たり前にぽむぽむと南の肩を軽く叩いて主張するコムイに、つい首を傾げる。
確かにここ最近はよく見ている光景だが、いつもそうだったかなんてわからない。



「アレンくん達は本当、何も変わらないね」



騒ぐラビ達を見ながら、眼鏡の奥の切れ目が細まる。
しみじみと漏らすコムイの言葉に、南の思考は引き寄せられた。



(…そっか)



変わってしまったものはある。
しかし変わらないものだって存在している。
失くしてしまったものはあるけれど、大切なものはまだ残されているから。



「…そうですね」



ラビ達の光景を目に映す。
しかと彼らの姿を脳裏に残すように。
それから辿ったのは、彼ら越しに立つ人。



「どうした?要らないか、コーヒー」



足を止めてこちらを見ている。
夢の中のように霞んではいない、リーバーの姿。

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