第80章 再生の道へ
(え…な、泣いた?神田!泣きましたかこれ!?)
(なんで泣くんだよこれくらいで!つーか俺に聞くな!)
(ま、まだ泣いたかなんてわかんないでしょ!?ラビ!)
(い、いえっさー!)
「どしたんさ南…っ驚き過ぎて古傷でも痛むんさ?」
「「「「………」」」」
「…なんでそこで皆僕を見るの。これ僕が悪いの?サプライズ祝賀会しようって言ったのはリーバーくんでしょ!?」
「違います室長です。俺は普通の祝賀会にしようって言いました謝って下さい」
「これ僕が悪いの!?」
しどろもどろに屈んで様子を伺うラビの言葉に、今度は一斉にコムイへと皆の視線が向く。
南へと向いていた驚きの目は一変して、冷ややかなもの。
「南、ホント大丈夫さ?ほ、ほら。皆南が戻ってきてくれて嬉しくてやっただけだから…悪気はないんだって」
「そ、そうよ南さん。見てほら、ケーキもあるわ。素敵じゃないっ?」
「全く。これくらいのことで泣いてどうするんですか、それでも成人し」
「リンクは黙ってて下さい」
必死に宥めるラビとミランダの後ろで、淡々と留めを刺そうとしたリンクをぴしゃりとアレンが寸止める。
「っ…ぅの…」
「へ?なんさ?」
「違う、の」
「違う?何が違うの?」
ぷるぷると肩を震わせたまま俯き加減に首を横に振る。
南のその小さな声を聞き洩らすまいと、寄せたラビとミランダの耳に届いたもの。
「ロボット…本当に…ラビの言う通り、科学班の皆が…ロボ化したかと、思って…っ」
「「「「………」」」」
「吃驚した…怖かった…ッ」
「「「「………」」」」
「あ、いや…ちょっと待つさ南。待って皆の視線が痛いから待って」
暗闇の中でケーキの蝋燭に照らされた白衣姿の人型ロボットコムリンEXは、ホラーものの苦手な南には衝撃的だったのだろう。
胸元を押さえて心底感情を込めて吐き出せば吐き出す程、周りの冷ややかな目がラビへと集中する。
視線が痛い。