第80章 再生の道へ
横に立っていたラビが顔を覗きながら、ひらひらと目前で手を振ってみせる。
それでも南は唖然としたまま、目の前の光景を見つめていた。
否、白衣を着ている謎の巨大人型ロボットを。
『退院オメデトウゴザイマス』
「わぁっ!?このロボット喋りましたよ!」
「ふっふーん!よくぞ聞いてくれたねアレンくん!」
「え?いや何も聞いてな」
「それは僕手製のおニューロボット!コムリンEXなのさぁああああ!」
「…何も聞いてませんよコムイさん…」
「チッ、また面倒なもん作りやがって」
「はぁ…兄さんったら…」
「え、何その顔なんでそんな冷たい目向けるの神田くんリナリー酷くない!?コムリンEXは南くんのお祝いしてるだけなのに!」
「ハイハーイ。その肝心の南が固まってるさー」
「「「「え?」」」」
わいわいと雑談混じる中に、ひらひらと挙手したラビが皆の注目を集める。
何事かと科学班とエクソシスト一同の視線が集まる中、今回の主役となる南の頭には、皆が狙い飛ばしたクラッカーのリボンが色鮮やかに乗っていた。
頭を色とりどりに染めたまま、コムリンEXなるコムイの手作りロボットを唖然と見つめたまま。
「…っ」
「えっ?南さん?」
「どうしたの?」
「オイ、なんだ」
「どしたんさー?南ー?」
へなへなと、何故かその場に力尽きたかのように座り込んだ。
あまりの驚きで腰でも抜かしたのか。
不思議そうに覗き込むラビ達。
と。
「…ぅ…っ」
「「「「───!?!!!」」」」
不意に俯いてぷるぷると震え出す小さな肩。
予想もしない南の反応に、皆は一斉に目を剥いた。