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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



「只今戻りまし………た?」

「なんで疑問形なんさ」

「緊張し過ぎですよ、南さん」

「扉の前で固まってんな。さっさと入れオラ」

「や、だ、だって…っ」



研究室の中を覗いたまま固まる南の背中を、苛立ち気味に神田が押す。
ぐいぐいと中に押されながらも、南は慌てて振り返った。



「中、誰もいなくて…」

「へ?」

「誰も?」

「…何言ってんだお前」

「本当だって!」



ほら!と体をずらして研究室の中が見えるように促す。
そんな南に言われるまま、中を覗き込んだラビとアレンと神田の目に映ったもの。



「…真っ暗さ」

「本当だ」

「………どうなってんだ」



それは電気の一つもついていない、シンとした真っ暗な研究室内部だった。



「南さん、やっぱり日付間違えたんじゃ…」

「ま、間違えてないよ!確かに今日が退院日だし、リーバー班長にもその日に出勤するって伝えてたはず…っ」

「他の班の手伝いにでも出てるのかしら…?」

「それなら擦れ違いのないよう、リーバーが南に伝えているはずだろう?」

「マリさん…そ、そうよね」



真っ暗な研究室に、真っ先に慌てて足を踏み入れたのは南。
その後を不思議そうな顔でリナリーやミランダ達も続く。
天井も高く広い研究室だが、こうも真っ暗だとなにがどこにあるのかまるでわからない。
書類の束や研究材料の多い研究室。
下手に歩き回って物を壊したらいけないと、南は慎重に進めていた足を止めた。



「リーバー班長…!私です、椎名南です!た、只今戻りました…!」



口元に手を当てて声を張り上げる。
しかし返ってくるのはシンとした静寂だけ。



「…なんで…」



困惑気味に、不安げな声を漏らす。
そんな南の隣についたラビが、はっとした顔で何かに目を止めた。



「南、あれ」

「え?」

「あそこに誰かいる」



ラビが指差した先。
其処に、微かな明かりが見えた。

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