第80章 再生の道へ
「私なら大丈夫だよ、アレン。無理はしないようにするから。子供じゃないんだし…」
「大人なら心配不要なんて誰が決めたんさ。んならオレも今日一日暇だし、科学班の見学に行く」
「…絶対それ見学じゃないでしょ」
「見学だって。あのラボにはよく顔出しに行ってただろ」
背中の白衣を掴んで止めていたラビもまた、アレンに賛同するように提案してくる。
あっさりと子供扱いを否定してくる彼は、確かに常日頃から頻繁に科学班の研究室に顔を出していた身。
南の元へ壊れた通信ゴーレムや他アイテムの修理を頼みに訪れることもあれば、好奇心の塊の如く科学班の研究をひたすらに見続けていることもあった。
見慣れた赤毛を迎える度に、また来たのと言いつつも当たり前に受け入れていたから、今更否定する理由もない。
返す言葉なく押し黙る南。
その横を、スタスタと神田が通り過ぎていく。
「ならさっさと行くぞ」
「え?……まさか神田も来るの?」
アレンやラビだけならまだしも、何故神田までついて来ようとするのか。
意図がわからず困惑気味に目を向けた南に、通り過ぎ様に振り返った神田は、さも当たり前という顔で黒曜石のような瞳に彼女を映した。
「六幻の手直しをお前がサボらないようにな」