第80章 再生の道へ
「………」
静まる空気の中、一人ラビは思い出していた。
ヘブラスカの間で破壊したレベル4のAKUMA。
それが最期に放っていた言葉を。
"いいきにならないでくださいね。ぼくていどをはかいしたくらいで。おまえたちなんていつでもほろぼせるっかつのはわれわれなのだ!"
生首一つになっても尚、高笑いを続けていた。
あの最期の言葉は意地でもプライドでも脅しでもない。
恐らく真実なのだろう。
〖…ラビ。この後顔を貸せ〗
ぼそりと小さな声で後ろから伝えられる言葉。
それはブックマン一族であるラビにしか、わからぬ言語だった。
外部に情報を漏らさないよう、一族にしかわからぬ言語で言葉を交わす。
それは重要機密を取り扱う時に行う、一族の連絡手段の一つ。
つまりそれだけ重要なことだと、そういうことなのだろう。
〖わかった〗
顔は前に向けたまま、同じ言語を返事一つで返す。
見なくともラビには、それが誰なのかわかっていた。
その言語が扱えるのは、彼を除けば教団ではブックマンしかいないのだから。