第80章 再生の道へ
「───説明は以上だ。エクソシストは主に装備型ばかりだから。もし何か不可思議な出来事が身に起こった時は、些細なことでも報告してくれ」
「わかりました」
コムイの締めの言葉にアレン達が頷く。
同時にそれが解散の合図。
そのまま司令室を後にしようと、アレン達が体の向きを変えた時。
「じゃ、俺も失礼します」
真っ先にドアに向かったのは思いも掛けない人物。
分厚い書類を手にしたまま、忙しなく片手を挙げたリーバーだった。
「えー、ちょっと待ってよリーバーくん。まだリナリーのイノセンスのことで話したいことが───」
「後でお願いします。急かすもんでもないでしょう」
「…仕事人間の君が言う言葉?それ」
「仕事人間だから優先順位くらいわかります。それは後でも大丈夫です。ただし今日渡した書類は今日のうちに全て目を通しておいて下さい。押印も忘れずに。やってなかったら殺します。ではッ」
「ええー!ちょっと待っ…!」
最後にビシッと釘刺しだけは忘れずに。
コムイの嘆きなど右から左。
足早に司令室を出ていくそんなリーバーに、アレンはきょとんと不思議そうに首を傾げた。
「珍しいなぁ…リーバーさんのあんな姿」
誰よりも最後まで職場に残って残業をしているような人物なのに。
ぽつんと呟くアレンの言葉に、その行動の意味を知っているのはこの場ではただ一人。
「…ちょっと意地悪し過ぎたかな…」
仕事と死刑宣告を告げられ、哀愁漂わせながら微かに嘆くコムイ・リーだった。