第80章 再生の道へ
(なんっか最近、南の雰囲気が…こう、ふわふわしてんだよなー…なんでだろ)
空いた手を口元に当てて、ちらりと盗み見るように再びラビはそこに目を向けた。
割と仲は良い方だったから、笑顔はよく見せてきてくれていたと思う。
しかしこんな柔らかい笑みを見せてくれていただろうか。
「………」
「?」
思わずじぃっと見てしまえば、ぱちぱちと目を瞬いた南が不思議そうに軽く首を傾げた。
言葉に変えれば「何?」と問い掛けてきているのだろう。
「や。別に。ナンデモナイ」
「?…そう?」
頭から手を離して首を横に振れば、「変なの」と呟いてまた笑われる。
くすりと可笑しそうに。
そして柔らかい笑みで。
(くそう可愛い!)
思わず体ごと南から背けて心の雄叫び一つ。
なんだこれは。
急にデレ期でもきたのか。
フラグキタコレか。
キタコレフラグか。
「~…っ!」
「ラビ?」
「なんか震えてますね…大丈夫っスか?」
「どうしたの、傷口でも開いた?」
「気にするな、阿呆の病じゃ」
「そのうち治まる」
ぷるぷると体を震わせ悶えるラビの背中を、不思議そうに見守る南にチャオジーにジョニー。
事の真相を悟っているのはブックマンとマリのみ。