第80章 再生の道へ
反応を見せないジョニーに、少しだけ足が竦む。
それでも南は足を止めることなく車椅子を押し続けた。
グリップを握る片手を見つめて。
「……タップが…スカルにされてしまったのは…私の所為なの。タップは逃げろって言ったのに、私が逃げなかったから…だから…タップが私の…犠牲になって…」
自分を詰ったって今更何も変わらない。
でも自分の行いを正当化する気もない。
あの時、ああしていれば。
その後悔とやるせなさは、簡単には消えてくれないもの。
タップを失ってお互いに泣き崩れたあの日から、一度もそのことについてジョニーとは言葉を交えていない。
だからこそ会った時には、必ず話さなければいけないことだと南は思っていた。
そして時間をかければかける程、それが難しくなることもわかっていたから迷わず告げた。
自分の行いで、タップを失ってしまったことを。
迷わず告げたはずなのに、言葉は途切れ途切れですんなりとは吐き出せなかった。
「………ごめんなさい…」
最後の言葉はか細く、静かな広い廊下の高い天井に消えていく。
返答はない。
ジョニーの顔は前を向いたまま、振り返ろうとしない。
ぐ、とグリップを掴む手に力が入る。
「…南だけが悪いんじゃないよ」
その時、微かに耳に届いたのは自分と同じ。
微かな、小さな吐息のようなジョニーの声だった。