第80章 再生の道へ
「ただじっと何もせずにいるのが、なんだか居心地悪くってさ。そういえばそろそろアレン達の団服の新調時期だったなーって」
「…成程」
周りにいるナースが聞けば顔を顰めてしまうような会話。
しかし納得してしまう南もまた、科学班の一員。
ジョニーの言い分は理解できた。
「それで採寸しに?」
「うん。今ならエクソシストも療養中だろうから、時間は空いてると思うし」
「ふぅーん。じゃあジョニー、外出許可出たんだ?いいなぁ。私はまだ」
「………」
「ジョニー?」
「…あはは…」
何気なく問えばまたもや返されたのは、先程より力の無い愛想笑い。
(ああ、成程)
「無断外出する気なんだね…」
「見逃して、南」
思わず突っ込めば即座に顔を逸らされた。
後ろめたさはあるらしい。
(…全く。本当、ジョニーらしいなぁ)
一瞬呆れはしたものの、それよりも彼らしいという思いが勝ってしまった。
だから零れた表情は苦笑い。
「わかった、いいよ」
「ほんとっ!?ありがとー!」
「でも心配だから。私も一緒に行く」
「えっ?…見つかったら怒られるよ?」
「見つかる前に戻って来ればいいんでしょ?二人で作業した方がすぐ採寸も終わるよ」
内心は、まだジョニーと一緒にいたいという思いもあったのだが。
そんな南の提案に、一瞬迷う素振りを見せたもののジョニーの決断は早かった。
「じゃあお願いしようかな」
彼もまた、まだ南との時間を欲していたから。