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科学班の恋【D.Gray-man】

第80章 再生の道へ



✣ ✣ ✣ ✣



「なんだ、来たのかティム」



薄暗い教団の地下水路。
点々とコンクリートの壁に灯された明かり。
その明かりに照らされ光る、金色の光沢。
それを手元に、クロスは軽く笑みを浮かべた。
応えるように白い手袋に擦り寄るのは、その手で造り出した愛ゴーレム。



「くれぐれもあちらで粗相のないように。クロス元帥」

「お前は俺の母ちゃんか」



そんな愛ゴーレムとの別れを噛み締める時間を邪魔してくる、珍しく凛とした声。
目の前で至極真面目な顔を向けてくるコムイに、クロスは軽い口調で返した。



「本当に大丈夫ですか?こんな時でなければ、僕も行くんですが…」

「話をしに行くだけだ。俺を心配するなんて珍しいじゃねぇか。本当に母ちゃんだな」

「違いますよ。途中で貴方がバックレたりしないかが心配なんです。こんな問題児、要りません」

「はっはっはっ」



ガミガミとそれこそ母親のように忠告してくるコムイに、クロスは真意の読めぬ笑い声を上げるだけ。
ぽんぽんと労うように形だけは、コムイの肩を叩いて宥めてくる。
そんな元帥の中で誰より個性的で、誰より厄介な人物を目に、コムイの隣に立っていたリーバーは小さく溜息をついた。

本当にこの人は、何処に行っても心配でならない。
これでいてあのレベル4のAKUMAにとどめを刺したのは彼なのだから。
直属の上司であるこのコムイと言い、上に立つ器の人間はこうもいい加減な性格を持つものなのか。
不思議でならない。



「時間です、元帥」



少し離れた場所から呼びかけてくる、穏やかなようで冷たい声。
一部の隙もなく、背筋正しくその場に佇むは中央庁の特別監査役の長官。

マルコム=C=ルベリエ。

これからクロスが向かう所は、その彼の本職である中央庁。
何やらルベリエと大事な会議を行うだとか。
何かと理由をつけて、ひらりひらりとルベリエの監視から逃げてきたクロス。
教団相手でさえも、縛られること嫌う彼が敢えてその巣窟に向かう意図とは何か。

相も変わらずクロスの真意は読めない。

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