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科学班の恋【D.Gray-man】

第79章 無題Ⅱ







「こっち包帯持ってきて!」

「いいぞ、後は医務室に運んでくれ」

「大丈夫だ、もう助かるから…っ」



教団の地下にあるヘブラスカの間から慌てて飛び出せば、大広間は沢山の団員達で溢れ返っていた。
声を上げながらバタバタと駆け回っているのは、主に医療班の皆。
担架で運ばれる何人もの血に染まった研究員の皆の姿もある。

兄さんの言う通り、無事だったんだ。

血に染まってはいるけど、命あることにほっとする。
それと同時に、はっとした。

私が此処に駆けてきた理由は、皆の無事な姿を見る為だけじゃない。
他に大事なことがあったんだ。



「誰か…っドクターいませんか!?アレン君が動かないの!」



ヘブラスカの間に置いてきたアレン君。
イノセンスの発動を解くや否や、その体はぐったりと動かなくなってしまった。

自分自身の体に巻き付けていたイノセンスの帯で、その体を操っていたらしい。
そんなアレン君の体は、間近で改めて見ると酷い有様だった。

地下までは医療班の手は届いていない。
救援を呼ばないと。



「何処ですか!?」

「大分下の階なの…っ!」



声を上げて周りに呼びかければ、気付いた医療班の人が声をかけてくれた。



「ヘブラスカの間の…ッ急い───」

「っ!?大丈夫ですか…ッ!?」



急いで事情を伝えようとすれば、急に目の前の景色がぐにゃりと歪んだ。
襲ってきた目眩に、思わず体はその場に座り込んでしまう。



「君も顔が真っ赤じゃないか…!」

「貴女…リナリーね?その血、頭を打ってるんじゃないっ?」

「な…なんでもな…ただの貧血…」



そういえばレベル4の攻撃でヘブラスカが吹き飛ばされた時…私も一緒に吹き飛んで、後頭部を強打してしまってたっけ…。
あの時、顔の半分を覆う程ぬる付いた血が頭から溢れていた。
今は大分出血も治まってるみたいだけど…多分、血を流し過ぎたんだ。

体中が、重い。

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