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科学班の恋【D.Gray-man】

第79章 無題Ⅱ



「だからそーいうことちんたら言ってるなら、オレが南を連れてく。異論は認めねぇから」

「あ、ラビ…!」



室長の制止を待たずに、背を向けて歩き出す。
そんなラビに、周りの救助隊の人達も慌てた様子でざわついた。



「ま…待って下さい!彼女は我々が───」

「退けよ」



目の前で道を塞ぐように飛び出してくる医療班員。
そんな彼の表情が引き攣る。

抱き上げられた腕の中から見えたもの。
いつもは表情豊かな顔を歪ませることなく、静かに見据えるラビの無に似た表情は…少しだけ、ピリッと肌を粟立たせた。

…あの時と同じだ。
デンケ村でAKUMAに捕えられた私を見て、手を出すなと静かに殺気を飛ばしていた時と。

その目を向けられた医療班員の彼は、恐らく真正面からラビの殺気を受けたんだろう。
体を竦ませて止まってしまった彼の横を、ラビが私を抱いたまま静かに通り過ぎる。



「ラ…ラビ…」



いつもは憎めない笑顔をよく浮かべていて、年下のアレンにも容赦なく弄られていたラビ。
そんな普段のラビからは想像できない姿。
思わずその腕を掴めば、



「5分だけだからな」



前を見据えたまま、ぼそりと小さな声で告げられた。

え?



「タップとの対面時間。5分しかやれねぇから。…南の気持ちはわかる。オレも同じだったから。…でもコムイの言う通りさ。その怪我は軽視していいもんじゃねぇだろ」



そこでやっと、足を止めることはせずにラビの目は私に向いた。
それって…じゃあ…コムイ室長と同意見だったけど、私の気持ちを汲んで行動してくれたってこと?

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