第79章 無題Ⅱ
暇さえあればデスクにお菓子の袋を開けて仕事してたから、書類に油のシミが付けばリーバー班長に怒られてたっけ。
そんなタップの好みは甘いものより塩っけのあるお菓子。
甘い飲み物も好きだったよね、確か。
これはオレのカンフル剤だ。とか都合の良いこと言いながら、炭酸のきついコーラなんかをよく飲んでた。
後は…
"もう…動けねっす…残業無理っす…"
……ああ。
きつい残業に根を上げて、そんなことも呟いていたっけ。
その気持ちならよくわかる。
何が欲しいかって言われたなら、私なら迷わず休暇だと言いたい。
…休ませてあげなきゃ。
沢山、沢山頑張ったんだから。
足だって潰されてたんだ、歩くこともままならないだろうから。
休ませてあげたい。
きっとそれがタップにとって大きな返しになる。
"…オレ…このまま眠れんなら、一生目覚めなくていいやぁ…"
休ませて、あげないと。
タップもそう言ってたんだし。
あれは私の夢だったけど、確かに同じ出来事は過去にあった。
書類に埋もれて脂肪たっぷりの顔をデスクに押し付けて、切実な声で呟いていた願い。
休ませてあげないと。
眠らせてあげないと。
一生、そのままでいたいって───
「…タップ…ッ」
一生、目覚めなくてもいいだなんて
そんなこと言わないでよ。