第79章 無題Ⅱ
「お願いです、室長…タップは、私の…大切な、人…なんです…」
入団初期から、共に切磋琢磨してきた仕事仲間。
時に共に馬鹿をして、時に共に怒られて。
一緒にこの聖戦での道を歩んできた人。
「借りが、あるから…ちゃんと、返さないと……タップ、怒る、から…っ」
身を挺して私をスカルから庇った時、貸しだからなってタップ言ってた。
オレはお前の保護者役なんだからって。
本当、いつもそうやって偉そうに私を子供扱いするんだから。
飲み会でお酒をガブ飲みさせてきた時もそう。
これくらい飲めなきゃ大人じゃないだとか、訳のわからない理由でアルコールを流し込まれた。
そんなタップだから。
貸し、作ったままだとうるさいの。
ちゃんと返さないと。
大きな貸しだから、いつもみたいなお菓子類じゃ駄目だ。
もっと大きなもので返さないと。
どうしよう。
「貸し、作ったままじゃ…駄目なんです…っ行かせて、下さ…っ」
「南……室長、俺からもお願いします…南も行かせてやって下さい」
「リーバーくん…だけど───」
頭の隅で、リーバー班長とコムイ室長の声がする。
でも私の頭は別のことを考えていた。
…タップに返すもの、考えないと。
タップがお菓子以上に欲しいものってなんだろう。
思い出す。
よく見かけていた職場での彼の姿を。