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科学班の恋【D.Gray-man】

第79章 無題Ⅱ



「タップ…皆、生きてるんスか…っ」



私と同じことをリーバー班長が口にする。
興奮気味に、担架から僅かに身を起こして。



「…全員じゃない。今はもう、彼だけだ」



彼?
彼だけって………まさか、タップだけってこと?

他の研究員の皆は?
スカルに改造された皆は?



「"守化縷(スカル)"───あれはAKUMAと違い、千年伯爵の魔術で体を改造された人間なんだ。AKUMAの卵を守る為に伯爵が作り上げた番人。それと同じに改造されてしまった人の体は、もう元には戻らない」

「え…」

「そ…んな…」



リーバー班長と愕然とする。
コムイ室長の静かな声で告げられる真実に。



「そしてその体も、恐らく何かしら術を施されないと保っていられないものだったんだろう。……タップ以外の…改造された皆は…」



その先は聞けなかった。
コムイ室長自身が躊躇ったから。

…聞けなくても、わかってしまった。
室長のその表情とその口調で。



…駄目だったんだ。

その体を保っていられなかったんだ。



「………」



じゃあ……それじゃあ。

タップも?



タップも、そうなってしまうってこと?



「今なら…まだ、彼に会うことはできる」



静かに続けられる室長の言葉は、明確ではないけれど"答え"だった。

つまり、タップは。



「………」



タップは。



「…っ」



もう───



「行きますッ」

「室長、オレ達も…ッ」



切羽詰った声が響く。
見れば、担架から身を起こしたロブさんとジョニーが見えた。

ロブさん、意識が戻ってたの?
話、聞こえてたんだ。



「オレも会わせて下さい…ッタップに…!」

「ジョニー…」



簡易的な手当てだけ施されたお腹を抑えて、それでも声を張り上げるジョニー。
その姿を見ていたリーバー班長もまた、しっかりと身を担架から起こした。



「コムイ室長…俺も行かせて下さい」



そうだ。
どんな結果だったって、ここで会わないなんて選択肢を取るはずがない。



「わ…私、も…っ」



だから私も名乗り出た。

会いたい。
タップに会いたい。

まだ生きているなら。

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