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科学班の恋【D.Gray-man】

第79章 無題Ⅱ



「ミランダ、さん…っ」



小さくて聞き取れなかったのか。
もう一度、今度ははっきりと彼女の名を呼ぶ。
だけど私の声にミランダさんは反応を見せない。
背中を向けたまま、倒れた私達の真ん中で座り込んだまま。



キィィィ…



ゴウゴウと鳴る炎の中で、微かな振動音が聞こえる。
それは翳すように両手を前に差し出している、ミランダさんの手の中から。

あれは……ミランダさんのイノセンス?

背中を向けているから、何に手を翳しているのかは見えない。
でもその振動音でわかる。
きっとレコード型のミランダさんのイノセンスだ。
その証拠に、ミランダさんの周りはぼんやりと青緑色に光って見えた。
微かな振動音とあの光は、ミランダさんが技を発動させている時に見えるもの。



「あれ……"時間停止(タイムアウト)"…?」

「…ああ。どうやらミランダが俺達を、あの衝撃とこの炎から…守ってくれたらしい」



ミランダさんのイノセンスの能力の一つ。
包囲した空間を、外の空間と一時的に時間を切り離して停止させる。
そうすることで包囲した空間内は周りから切り離された、別次元のような存在となる。

薄く私達の周りを膜のように張っている、ドーム状の透明な壁。
間違いない。
ミランダさんが、"時間停止"で私達を守るよう時間の結界を作ってくれたんだ。



「ミランダさん…」



あの衝撃から今まで、気を失っていた時間はどれくらいなのか。
ミランダさんはその間ずっと、イノセンスを発動させて私達を守ってくれていたんだ。

…ノアにやられて体力を消耗しているはずなのに。

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